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『カフェ・ド・フロール』特別上映
'Café de flore' - Canada's Top Ten Features

年始めに見た映画'Café de flore'を再び見てきました(私の書いた感想はこちら)。それというのも、前に行った劇場ではダメージを受けてしまったフィルムの代わりにデジタル上映がなされ、画質も音もイマイチだったのです。それで、もう一度いい環境で見たいと思っていたし、カナダ映画トップ10に選ばれた作品の特集上映がTIFF Bell Light Box(映画館だけでなく、トロント国際映画祭のオフィスも兼ねているビル)で行われていたこの日は、監督のジャン=マルク・ヴァレも上映に立ち会うということで、この機会を逃すものかと行って来た訳です。

事前に私の分もチケットを買っていた友達を待っていたら、地下鉄が遅れているとかで上映時間ギリギリまで来ず、いい席が残っているか不安になり『こんなことなら自分でチケット買って入るか…』と少々苛立っていたら、会場に到着した監督を発見して挨拶ができました(既に映画を見て「ほんっと凄い人だわ!」と思っていたので、初対面だと恐れ多くてまともに話せなかったです。こんなに緊張したのは久々だな)。

二度目の観賞は初めて見たとき以上に、この作品で掛かっている音楽(プレイリストはこちら)の全てが映像に見事に溶け込んでいる素晴らしさや、構成の美しさにただ感嘆するばかり。そして上映後のQ&Aが興味深かったです。録音機器とか持っていた訳でないので、覚えている限りでサクっと書き出すとこんな感じ。


'Café de flore' - Canada's Top Ten Features


Q:映画で使用されている楽曲に関して 

A:数年前にMatthew Herbertの'Café de flore'という曲を初めて聴いてから、同曲の別バージョンがあることも知り、その曲に関する映画の構想をずっと頭に思い描いていた。また別に、自分の好きなアーティストのミュージックビデオにダウン症の子供達が登場していたのにも影響を受けたよ。自分にとって音楽は不可欠なもので、この作品の着想も全て音楽から得たし、脚本を作る時も始終聴いていたね。


Q:キャスティングに関して

A:ヴァネッサ・パラディを母親役として選んだのは、キャスティング段階で映画の予算内に収まる女優をリストアップしたら、その一番上にいたのが彼女だった。実際、彼女自身も母親だしね。脚本を送って反応を訊こうとしたら、ヴァネッサに「丁度、子供が病気で世話をしていたのでまだ読んでいない」と言われたので後日改めて連絡を取り、彼女の脚本への感想や考えを聴いたらとても意欲的だったので出演してもらったんだ。

DJ役には、実際ミュージシャンを配役したいと考えていて、何人かに脚本を送ってみたところ、直に連絡が来て個人的に会ったのがケヴィン・パランだった。年齢もルックスもちょうど良かったし、多分、彼の中でも自身のキャリアにおいて歌手だけに留まらない何かをしたかったのだと思う。オーディションでは、精神科医と話をする場面や恋人にプロポーズする場面などを演じてもらうと非常にリアルな感情が込められていたし、これまで演技経験の無かった彼を起用することへの不安は無かったよ。

ヴァネッサ・パラディの息子役を演じたダウン症の少年ローラン(マリン・ゲリエ)を探すのが実は一番難しかった。カナダ、フランス、ベルギー、スイス…と、フランス語圏に住むダウン症の子を4ヶ月くらい探し続け、モントリオールのシーンを全て撮り終えた後も(注:この映画はフランスのパリと、カナダのモントリオールが舞台)見つかる見込みが無くって、「畜生!これじゃぁ映画が出来ないじゃないか!」と半ば自棄になっていた頃、先にローランのガールフレンド役になるダウン症の少女が見付かったのだけれど、会話もある程度出来る女の子でね、「実は、私の好きな男の子もダウン症なの」と話したものだから本当に興奮しちゃって、「是非、その子に会わせてくれないかな?」って頼んでようやく決まったんだ。あれは、まったく幸運だったというしかないな。


Q:過去と現在、それぞれ別のストーリーをどうやって一つにまとめあげたのか? 

A:自分で編集したからだよ(笑)。1969年のパリと2011年のモントリオールのシーンが交互に挟み込まれる訳だけれど、脚本を書いている時点で既に全体の流れは出来上がっていたし、その通りに沿って撮影したので殆ど無駄が無かったと思う。前に監督した『ヤング・ビクトリア』は、ハリウッド映画で予算が大きい分、確実に結果を出すーつまり安定した集客が求められたし、制約だらけで自分のやりたいことがまともに出来ず、完成した作品を見ても、“酷くは無いけど、既にどこかで見たことのあるよう映画”って印象にしかならなかった。その点、今作では思う存分に自分を通した作品ができて実に満足したんだ。


Q:40年前のパリを再現するにあたって 

A:今の時代に当時のパリを撮るって思った以上に大変で、例えば、学校の周りにはテロ対策でフェンスが張り巡らされていたり、ノートルダム寺院の外壁だって、今じゃ2年毎に掃除しているとかで真っ白で、すすけた感じがちっとも無いんだ(笑)。だから、数十年前の街並が撮られたフィルムをNFBC(National Film Board of Canada、カナダ国立映画庁)で借りて、7カ所ほど挿入しているよ。

当時使用されていた車や小道具などを用意したところで、やっぱり何から何まで物理的に再現するのは限界があるから、一旦パリのシーンを全部編集した上でVFX(視覚効果)を施した。使用したカメラに関して言うなら、抑制の利かない子供を撮るのにフィルムカメラでの撮影は不可能だったので、全てをデジタルーREDカメラで撮ってから、その後でフィルムの質感を出すようにデジタル処理したんだ。そうやってノートルダムも薄汚くしてね、一見そうとは分からない細かな部分にまで手が加えられているし、VFXを手掛けたスタジオの働きぶりは本当に素晴らしいものだったよ。


'Café de flore' - Canada's Top Ten Features


Q&Aが終わって会場から出た後、ジャン=マルク・ヴァレに映画チケットにサインを貰ったついでにまた話ができました(この時は二度目だったし、もう全く緊張してなかった 笑)。

私は、特に母親役のヴァネッサ・パラディと息子マリン・ゲリエが登場する場面は本当の親子の様でとても好きだったのですけれども、ダウン症の少年に演技指導を行うのはまず無理で、全てが演技では無く素だったそう。少年が右へ行くか左へ行くかは毎回予測不可能で、ヴァネッサ・パラディとカメラが少年の後を追う感じで収録していた、と。カメラが回っていようとも、突然、カメラの背後にいる自分に向かって「大好きっ!」なんて笑顔を振りまくものだから、彼の注意を引かないように気をつけたんだよね、とかいちいち微笑ましい。

いろいろ突っ込んだ質問の全てに明瞭な答えをもらって、この作品の二十、三重にもなっている脚本―というか彼の考えにほとほと衝撃を受けてしまった訳ですが、これ以上はスポイラーになっちゃうので控えておきます。

日本も早く劇場公開して欲しいのに、「それが、日本の配給会社からは全く声が掛からなかっていないよ。僕も日本に行きたいのにねぇ」と言われて驚き。今回上映とQ&Aを担当したTIFFのプログラマーの方も「Really?! What a shame(本当っ?!それは残念だ)」って反応でした。せっかくいい作品なのに勿体無いなー。
| journal | 07:11 | comments(0) | trackbacks(0) |
カフェ・ド・フロール
Cafe de Flore 


時は2011年のモントリオール、一見、何不自由無い生活を奇麗なパートナーや可愛い娘たちと送りながらも、一方でギクシャクした関係を抱えてセラピストに通う世界的に有名なD.J.アントワーヌ。そして、1969年のパリで、貧しいながらも女手一つでダウン症の息子ローランを育てる美容師ジャクリーン。時代や環境の全く違う彼らを結びつけているのは音楽でした。


ほんの些細な場面ですら、そこに映し出される人々に満ちる喜びや愛おしさ、戸惑いや憤りといった複雑な情感の一つ一つが純正な羽毛の様で、それらが音楽と一緒に少しずつ積もって一つの形を成す程は絵画のように芸術的。終盤で思ったのは、この映画は単に“編集”と言うより“モンタージュ”って言葉こそが相応しいなと。

映画予告で使用されている曲は、アイスランド語に造語も交えることで有名なSigur Rósの'Svefn-G-Englar'。歌詞では"tjú"と表記されているサビ部分が、"It's you…"と聞こえる点を敢えて本編でも取り入れている監督ジャン=マルク・ヴァレにセンスの良さを感じるのですが、そもそもこのミュージックビデオが本作品のモチーフになったのかしら?とも。



何と言ってもこの作品の素晴らしさは、時に暴力的ですらありながらも、その根底にあり続ける深い愛を貫く母親を演じるヴァネッサ・パラディと息子役マリン・ゲリエ(Marin Gerrier)の繋がりの強さに拠るところが大きいでしょう。上のインタビュー映像は、フランス語ネィティブの彼女が英語で受け答えしており、ゆっくりしていて聞き取り易いですので是非チェックしてみて下さい。

===

観賞し終えた時に、全体のテーマが受け入れられない人にとっては「前々駄目」な作品かもしれませんが、私は大満足でした。今丁度日本で公開されているカナダ映画『灼熱の魂』が好きな方には迷わずおススメできるかな。この間、2011年のお気に入り作品を挙げたばかりであるにも関わらず、この作品も加えてしまいます。

カナダ国内では高評価を得ているのに、今のところポツポツとしか公開しかされていないのが何とも勿体無い。もう一回最初から振り返ってみたいので近々見直すつもりです。

===

後日、上映会で監督ジャン=マルク・ヴァレのQ&Aに参加し、直接話をする機会があったので、こちらの記事もどうぞ。 http://re.as1219.com/?eid=837891
| cinema | 14:26 | comments(0) | trackbacks(0) |
2011年度のお気に入り映画
アカデミー賞候補も一通り見た上で、今年私が気に入った映画を絞ってみました。
順位を付けるのは余りに難しいので最初から放棄していますぞ(ムック調)。

Where Do We Go Now

'Where Do We Go Now?' (Et maintenant, on va où?)
悲しみと笑いが表裏一体になったレバノン映画。
これほど喜劇の真髄を汲み取った秀逸な作品は久々に見た気がする。
命の重さを知っているのは、やはり女性なのだな。


Cafe de Flore

見終えた後の帰り道や、家に辿り着いてからもふと思い出すだけで涙が。
是非日本でも劇場公開してほしい作品。


Midnight in Paris

'Midnight In Paris' 『ミッドナイト・イン・パリ』
いろんな意味で、「21世紀のシンデレラストーリー」とでもいいましょうか。
素直に映画ってやっぱり素敵と再認識させられるウッディ・アレン作品。


The Artist

時代の流れに乗れず、世間から見捨てられた主人公を陰ながら見守る人々、
そして、何と言ってもワンコと音楽の使い方がニクい。
白黒サイレント映画なんて、途中だれてしまうかと思いきや全くそんなことありません。


Take Shelter

単なるパニック映画に留まらない、心理的な疎外感を描いているのも見事。
狂気的な主人公にマイケル・シャノン、彼を支える妻役はジェシカ・チャステイン。
興行的にはパッとしなかったのが惜しくてならない作品。


The Way

'The Way' 『ザ・ウェイ』
エミリオ・エステヴェスとマーティン・シーンの親子共演。
広大な景色の中に胡麻粒の様な人が歩いているのを見るだけで、
自然に対する畏怖のようなものが湧き出るし、巡礼に行きたくなります。


Win Win

世知辛いけれど、好きにならずに居られない登場人物ばかり。
特に母性溢れるエイミー・ライアンが良いです。


Shame

'Shame' 『シェイム』
全編に渡ってバッハの曲が使われていて、それが妙にしっくりくる意外性。
万人に受ける内容ではないものの、この作品のマイケル・ファスベンダーは必見。
撮られている人物だけじゃなくって、スクリーン一杯に広がる背景にも、
最初から最後まで「ロケーションの選択が上手いなー!」といちいち感心しっぱなし。


The Ides of March

ジョージ・クルーニーやライアン・ゴズリングよりも、
フィリップ・シーモア・ホフマンが深みを出していて良かった。
―どうしてスーパーの安売り日みたいな邦題になってしまったのでしょう。


My Week With Marilyn

スカーレット・ヨハンソンが降板し、ミシェル・ウィリアムズが主役を務めたとのことですが、
だからこそケネス・ブラナーと同等の存在感があったと思います。


Like Crazy

二人の出会いから恋をしている時の夢の様なフワフワ感と、
滞在ビザが切れて以降、お互いイギリスとアメリカで離れている時の日々がとても現実的。
フェリシティ・ジョーンズの可愛さは驚異的です。


Warrior

'Warrior' 『ウォリアー』
格闘技が好きでなくても、トム・ハーディーの鍛え抜かれた体に惚れ惚れします。
父親役であるニック・ノルティの哀愁漂いっぷりには悲しくなっちゃう。


The Muppets

'The Muppets' 『ザ・マペッツ』
マペッツの奮闘振りはさることながら、カメオが好きな俳優だらけで豪華。
Flight of the Conchordsのブレット・マッケンジーが手掛けた曲もおススメ。


The Girl With The Dragon Tattoo

'The Girl With The Dragon Tattoo' 『ドラゴン・タトゥーの女』
スウェーデン版のリメイクで、オリジナルの影響も多々見られるものの、迫力が数割増。
テンポ良く二時間半強という長さを一気に駆け抜けるのは、デビッド・フィンチャーならでは。
普段、一枚目を演じることの多いダニエル・クレイグが人間味に満ちていて好感度アップ。


Carnage

'Carnage' 『おとなのけんか』
子供のケンカについて話し合いをするために集まった夫婦二組を描いた戯曲の映画化。
体裁がどんどん破綻していく過程の台詞と小道具使いがとにかく面白い。


50/50

実際に20代初めにガンを宣告されたウィル・ライザーが病気を克服した後に、
セス・ローゲンに脚本を書くよう勧められ、実際のエピソードが盛り込まれています。
主人公と親友、親との関係は台詞の無い場面にこそ響くものがありました。
| cinema | 15:37 | comments(0) | trackbacks(0) |
姪っ子
今、一時帰国中の妹がスカイプで姪っ子(三歳、兄の娘)の様子を報告してくれました。

===

妹: ほーちゃん、女の子らしくなったよ!

私: 見たい

妹: 髪も伸びて

私: 凄い見たーい

妹: 写真撮ってない。正月だね。
     ほーちゃん、扱いが楽になったわ。
     去年ほど大変じゃなかった

私: 動物っぽく無くなった?

妹: いや、人っぽいよ

私: 良かったねー。去年、オオカミに育てられた子供っぽかったもんね。

妹: エレクトーンで一緒に遊んでて
     あっこが昔使ってた楽譜弾いてたら
    「それは子供のでしょ。なんで大人の弾かないの?」って言われて
     なんだか恐ろしかった

私: うわー

妹: あとね、おとんが何回か電話してきてて
     でもほーちゃんに「じいちゃんと喋る?」ってきいても
    「ヤダーーーー」っていいながら椅子の陰に隠れたりして

私: えええええ

妹: やっと話しても「もしもし」ってだけ言って

私: 反抗期...

妹: おとんがいろいろ話してるのは聞えたのに
     普通に受話器おこうとして焦った

私: 去年のが良かったんじゃね...?

妹: じいちゃんかわいそうに

===

あ、このブログ、父も見てるんだったっけ...。
| journal | 09:19 | comments(0) | trackbacks(0) |
テイク・シェルター
Take Shelter 


10月下旬、しとしと冷たい雨が降る中を帰宅したらもう二度と外に出たく無かったのですが、日中にチケットをオンラインで事前予約してしまったので、渋々ながら劇場に向かい、ジャケットの中に滲みた雨水で服が軽く湿っていたたまま観賞した作品。映像とストーリーの重さで、泥の中に全身を埋め込まれた様な息苦しさと同時に、奇妙な安堵感を数パーセントほど味わったものでした。

===

ある日、暗雲の垂れ込めた空から茶色いねっとりとした雨がポツポツ降り出し、かつて経験したことの無い規模の竜巻に襲われる光景をまざまざと夢で見た主人公カーティス(マイケル・シャノン)は、その悪夢が現実になるのを恐れて地下シェルターを作り出す。まるで“ノアの方舟”が現実になるかのような、彼の度を超した熱の入れ様は仕事にも支障をきたし、次第に周囲も手を付けようが無くなる。

最初はパニック映画かと思っていたのに、サイコスリラーとでも言えばいいのでしょうか。予知夢か、それとも強迫観念にしか過ぎないのか、主人公の悪夢が積もりに積もって狂気混じりになる迫真の演技はもちろんのこと、脚本・監督のジェフ・ニコルズって、これだけの大作を世に出しておきながら、まだ30代前半ってどういうことなんでしょうね…!

さらに、カーティスの妻サマンサを演じるジェシカ・チャステインは、私がここ数ヶ月に見ただけでも'The Tree of Life'、'The Help'、'The Debt'、そして'Take Shelter'と出演作が目白押し。全てが準主役で、どれひとつとしてキャラクターが重ならず、あたかも別の俳優が演じているかのよう。オスカー予想では助演女優賞の呼び名も高い彼女、上記4作品の中で評判や興行成績が一番地味な扱いの本作で是非とも獲って欲しいものだと願っています。

| cinema | 10:31 | comments(0) | trackbacks(0) |
サバイビング・プログレス
Surviving Progress


マーティン・スコセッシがエグゼクティブ・プロデューサーの一人として名を連ねている、カナダのドキュメンタリー映画。 

12月1日に先行上映会へ行ったところ、作品のエグゼクティブ・プロデューサーであるマーク・アクバーが「ドキュメンタリー映画際のあったアムステルダムから飛んできました。ケベックでは予想していた以上に好評らしく、公開から四週間が経った今も上映中です」と挨拶。その様子を見る限りでは、「何だか人の良さそうなおじさんだなー」という印象だったのですが、後で、彼が『コーポレーション』『マニュファクチャリング・コンセント: チョムスキーとメディア』 の監督でもあったと知って「うぉぉぉーっ、直接話がしたかった!!」と激しく悔やんだ私なのでした。

   

このドキュメンタリーの原作は、カナダ人作家ロナルド・ライトが著した『暴走する文明―「進歩の罠」に落ちた人類のゆくえ』(原題 'A Short History of Progress')。

映画の冒頭、二個のブロックを与えられ、テストを受けるチンパンジーが登場。テーブルに描かれた二つの円に各々ブロックを配置できたら餌が貰えるという至って単純な内容であるものの、それが成功した後に、今度は別の(バランスが取れずに倒れてしまう)ブロックを与えると、チンパンジーは何が原因なのか追求することができません。―DNAレベルで、一番人間に近いとされているチンパンジーと人間、その違いは『何故?』と疑問を抱く能力の有無だとか。 

アメリカやヨーロッパの平均個人消費は、バングラディッシュの約50倍に当たるといわれる統計を前提にして、近年、急激な経済成長を遂げている人口大国の中国やインドの人々が、今後、先進国と同程度に消費するようになったらどうなるか?と問題提起が。 

産業革命から現代に至るまでの約二百年、生活を向上させるために急速な発展を続けてきた、まさにその行為が実は未来の子孫にとって生き難い環境破壊をもたらしているという矛盾の指摘。また、資本主義への痛烈な批判として、表向きはアフリカへ援助の手を差し伸べるか姿勢を取りながら、裏を返せば、先進国の利益しか優先してこなかった『国際協力』や、アマゾンで減少する一方の熱帯雨林などの実例が挙げられます。そして、スクリーンに映し出されるのは、かつては最大の勢力を誇り、現在は衰退し底辺にあるギリシャやローマ、そしてマヤ帝国の現在では抜け殻になったような遺跡。

一番印象に残ったのは、生物学者クレイグ・ヴェンターの『更なる環境汚染が進行する中、この先人類が生き延びるためには、他の惑星を征服して移住するか、劣悪な環境でも生存できるような遺伝子に組み替えるかだ』何て、冗談とも本気とも取れない言葉。『科学』(昔懐かし学研教材も、今は休刊なのですね...)を読んでいた小学生の頃は、単なるサイエンス・フィクションの世界として一蹴できた気もするのに、大人になった今では現実味が増して背筋が寒くなります。

地球上の人口が増え続ける中、地球上の資源は限られている事実を再認識しなければならないし、最終的には、一人一人がモラルや知恵を持ち、資源の消費を減らすことの重要性を説いています。この大不況下にあって、『経済の活性化のためには消費活動が必要』と一般に認識される中、それを真っ向から否定する姿勢がカナダらしいドキュメンタリーでした。



今回紹介した作品は、『いま ここにある風景』(原題'Manufactured Landscapes')と題されたドキュメンタリーも通じるものがあるかもしれません。カメラの動きは淡々としているのに、衝撃的な光景が詰まっています。

| cinema | 22:50 | comments(0) | trackbacks(0) |
ジ・アーティスト
The Artist


1927年、サイレント映画で脚光を浴びていた俳優のジョージ・バレンティン(ジャン・デュジャルダン)は、劇場前で大勢のカメラマンやファンが群がるほどの大スター。そこに居合わせたファンのペピー・ミラー(ベレニス・ベジョ)は、自分の落とした財布を拾おうとしたところ、ファンの人ごみから押し出されたことで運良くジョージと並んで写真を撮られる。

憧れのスターと自分の写真が載った新聞記事に高揚した勢いでオーディションを受け、ジョージの映画にエキストラとして出演した後、順調にスターダムをのし上がって行くペピー。一方、時代は技術革新でこれまでのサイレント映画に代わってトーキーが導入されようとしている中、サイレント映画に固執し続けるジョージはスタジオのボス、アル・ジマー(ジョン・グッドマン)から見放されてしまう。

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冒頭、スクリーンの前でオーケストラが演奏している場面。まだ録音技術が確立されてなかったが故、上映の度に生演奏をするしかなかったという不便さがありながら、今の便利過ぎる時代にしてみたら却って豪華で『うわー、私もオーケストラ付きで映画を見てみたい!』と思ってしまいます。

白黒のサイレント映画だとは事前に知っていたものの、字幕すら殆ど無いとは驚きでした。その分、映画の中で音楽が如何に重要かを再認識させられ、また、時折意図的に入る音のタイミング、そしてその効果が文句の付けようがないくらい完璧なので、醍醐味を味わうためにも是非映画館で観賞して欲しい作品。

21世紀に存在している気がしないほど、胡散臭い口ひげが白黒画面が映える主演ジャン・デュジャルダンと、新鋭女優役のベレニス・ベジョ。主人公の妻以上にパートナーらしい愛犬は、『オスカー助演男優賞にノミネートされてくれないかしら!』と半分本気で願うほど。運転手役のジェームズ・クロムウェルも主人公を陰ながら見守る役としてぴったりでした。

映画の上映方式がフィルムからデジタルが一般化し、またIMAXや、私が子供の頃には赤と青の色付きメガネでしか無かった3Dの技術が、今後更に普及して行くであろう今日にあって、敢えて前世紀の白黒映画ーことさらサイレントとトーキーの過渡期に焦点を当てた本作がオスカーの賞レースに加わるのは確実でしょう。

| cinema | 02:08 | comments(0) | trackbacks(0) |
My Week With Marilyn
My Week With Marilyn 


1950年代半ばにイギリスで撮影された『王子と踊子』で、製作監督を務めたローレンス・オリヴィエの助手として関わったコリン・クラーク(当時23歳)が後年発表した自叙伝が元になった作品。青年の視点を通して語られる在りし日のマリリン・モンローと、映画制作の裏舞台を克明に再現している。

モンローは、誰が演じたところで演技が鼻についてしまうだろうと危惧していたし、そもそもミシェル・ウィリアムズは何も共通点が無いだろう!と思っていたのに、彼女の外見以上に雰囲気をまとったその化けっぷりには、回顧映画以上のものを見てしまった感じ。

ローレンス・オリヴィエ役は、ケネス・ブラナーが「自分しか居ないだろう!」って熱望したのかしらとか、ついつい想像してしまう。今度のオスカーに、ミシェル・ウィリアムズと共にノミネートされるのかな。 

| cinema | 02:20 | comments(0) | trackbacks(0) |
フィフティ・フィフティ
50/50
主人公のアダムを演じる筈だったジェームズ・マカヴォイが個人的な都合で降板したため、撮影開始数日前になって急遽ジョセフ・ゴードン=レヴィットが主役になったこの作品。二十代始めに癌を宣告された脚本家ウィル・ライザーの実体験を元にしており、当時、闘病の経過を見守った親友のセス・ローゲンが、その後、脚本を書くことを強く勧めたことで実現した企画。更には製作に関わるだけでなく、主人公の友人カイル役として出演しています。

公開当初に映画館で観賞したのですが、シアトルを舞台にしているにも拘らず、実際は主にカナダのバンクーバーで撮られているので、冒頭シーンから『ねぇ、ちょっと、バンクーバーだよね』とスクリーンを指差して反応するカナダ人がチラホラ。ガンを告げられた主人公が、もしかしたらそれほど長く生きられないかもしれないと悲観する中で「まだカナダにすら行ったことも無いのに!」と嘆く場面では、『いやいや、カナダだし!』みたいな爆笑が起きていました。

ドラマでありながら、主人公と親友のやり取りがコメディチックで面白く、ガンになった友人を叱咤するつもりで、「誰々は助かっただろ?」とガンになった俳優の名前を挙げたらそれが逆効果になっちゃう部分とか、笑っちゃいけないのについついクスッとする台詞が随所に詰まっています。アルツハイマーの夫を介護する日々の中、息子のガンを知らされる母親はアンジェリカ・ヒューストン(存在感があり過ぎる故か、あまり画面に登場しないのが惜しい)。世話を焼きたがる母親と、始終遠慮がちの息子に漂っているぎこちなさが終盤不意に解ける瞬間が私の一番好きな場面です。

主人公のガールフレンド、レイチェルを演じるブライス・ダラス・ハワードが、奇麗でキツい顔立ちの印象そのままの役になっちゃっているので、それはちょっと可哀相な気が(最近だと『ヒア アフター』とか『ヘルプ』も…)。この映画に恋愛要素はいかにも取って付けた感があるというか、別に男同士の友情に焦点を当てるだけでも充分だったのじゃないかなと思いました。

| cinema | 09:27 | comments(0) | trackbacks(0) |
Tweetdeckの長文リンク(cont)がエラーになってしまう場合の対処法。
今はもう長文リンクが140文字までしか投稿できなくなったTweetdeck。

昔投稿した長文も読めなくなってフラストレーションが溜まっていたのです。それは例えば以下のツイート(https://twitter.com/#!/AkaneSaito/status/67795593673719809

@AkaneSaito 『通販生活』は、初めて読んだときの記事の充実度への驚き(―まだ小学生だったしね)は今や薄れてしまったし、政治色が色濃く出てたまに首を傾げてしまうことがあったものの、原発やベラルーシに関する記事を綿々と連載してきた稀有な雑… (cont) http://deck.ly/~syd8b

ここに貼られた外部リンクをクリックすると、”Oops…! Page not found - 404”なんてエラーメッセージが出てしまう場合があります。


解決法

上記でエラーになってしまったリンクアドレス(http://deck.ly/~syd8b)最後の”~syd8b”を

http://www.tweetdeck.com/twitter/twitterアカウント名/ の後に付けます。 

 ↓ 


あら不思議、昔の長文投稿が読めるようになりますよ。
| journal | 06:51 | comments(0) | trackbacks(0) |
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